子宮頸がんワクチン(4価・9価)

Hpv vaccine

子宮頸がんワクチンの
副作用・対象年齢・保険適用

子宮頸がんワクチンの副作用・対象年齢・保険適用

子宮頸がんは、日本国内で1年間に約11,000人が診断され、約2,800人が亡くなっています。患者数は20代後半から40歳代がピークとなっており、患者数・死亡率ともに2000年以後増加していることから、WHO世界保健機関も子宮頸がんに対し警鐘を鳴らしています。

子宮頸がんの予防には、ワクチン接種が極めて有効です。そこで、「子宮頸がんワクチンを受けたい」「子宮頸がん予防のため、子どもに受けさせたい」と考えられる方のために、子宮頸がんを予防するワクチンの概要と接種が推奨される年齢、気になる副作用、そして日本で受けられる3種のワクチンについてご説明します。

この記事の監修医師

天神駅前婦人科クリニック院長 橋田修(はしだおさむ)医師

橋田 修(はしだ おさむ)医師

  • 山梨大学医学部 卒業
    (産婦人科専門医・母体保護法指定医)
  • 天神駅前婦人科クリニック 院長

ヒトパピローマウイルス感染を
予防するHPVワクチンとは?

子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス/HPVというウイルスの感染が原因です。そのためHPV感染を予防することが子宮頸がんを防ぐうえでとても重要となります。つまりHPV感染を予防する「HPVワクチン」は、「子宮頸がんを予防するワクチン」なのです。

ヒトパピローマウイルス感染を予防するHPVワクチンとは?

性交渉経験ある女性の50%~80%が感染

HPVは、主に性器接触で感染するウイルスで、性交渉経験のある女性の50%~80%が生涯に一度は感染するといわれる、ごくありふれたウイルスです。そのため、子宮頸がんを予防するには、性交渉を経験する前にHPVワクチン接種を行うことが、非常に効果的であるとされています。

また性交渉後でも、ワクチンの効果が期待できるHPV型に感染していなければ、HPVワクチン接種による予防効果が期待できます。

大人も受けられる?ワクチン接種の対象年齢

HPVワクチン接種の推奨年齢は、小学6年生から高校1年生相当の女子(標準的接種期間は中学1年生)とされています。そのため、国が定める子宮頸がんワクチンの定期接種の対象者は、小学6年生~高校1年生の女子です。推奨年齢以外の女性でも、15~45歳くらいのすべての女性に、ワクチン接種意義があるとされているため、定期接種ではないといっても、接種を受けた方が良いといえるでしょう。

子宮頸がんワクチンの
副作用(副反応)は?

子宮頸がんワクチンといえば、副作用(副反応)が一時問題視されたため、「どのような副反応が起こるのか」「自分にも副反応が出るのでは」と心配される方もいるかもしれません。そこで、HPVワクチン接種による軽い副反応と重篤な副反応について、ご紹介いたします。

軽度な副反応

軽度の副反応として注射部位の痛み・腫れ・発赤が挙げられます。また注射の痛み・恐怖・興奮などをきっかけとした失神も一部で報告されていますが、これは注射による心因性反応を含む、血管迷走神経反射として失神が現れることに起因していると考えられています(ワクチン接種後30分程度は、椅子に座らせ様子を観察するのが望ましいとされています)。

しかし、国際的な臨床試験でも失神の発現は認められておらず、非常に稀なケースといえるでしょう。

重篤な副反応

子宮頸がんワクチンの重篤な副反応として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支けいれん、じんましん等)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられていますが、これらの副反応は発生数そのものが少なく、発生頻度も不明です。

また、国内では全身の痛みや歩行困難、睡眠障害や記憶障害など多岐にわたる症状も挙げられていますが、これらの副反応に関しても「ワクチンが直接の原因ではないストレス反応」の可能性が指摘されており、以下のように日本産科婦人科学会のホームページでも注意点が記載されています。

世界保健機構(WHO)は最近、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR:Immunization stress-related response )という概念を提唱しています。接種前・接種時・接種直後に見られる急性反応としての頻脈・息切れ・口喝・手足のしびれや、めまい・過換気・失神等、そして、接種後の遅発性反応としての脱力・麻痺・異常な動き・不規則な歩行、言語障害等の解離性神経症状的反応などが含まれています。ワクチンが直接の原因ではない症状も含む好ましくない事象(有害事象)とワクチンの接種に伴う免疫の付与以外の反応(副反応)を区別して評価することが重要です。 日本産科婦人科学会‖子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために

子宮頸がんワクチンは受けるべき?

子宮頸がんの予防において、子宮頸がんワクチンの接種は極めて有効です。特に「9価HPVワクチン」は90%以上の子宮頸がんを予防すると推定されています

しかし、特に接種の推奨年齢が小学6年生相当という幼い女の子であることを考えると、副反応へのリスクから親御さんが躊躇するのも当然で、子宮頸がんワクチンを受けるべきかどうか、非常に難しい判断のように思えるかもしれません。だからこそ、「子宮頸がんワクチンに関する正しい知識・情報」を事前にできるだけ収集し、「ご家族もご本人も十分納得してから接種する」ことが不可欠です。

HPVワクチンに関する情報は、厚生労働省や日本産科婦人科学会でも確認できます。

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子宮頸がんワクチン9価
(シルガード9)

子宮頸がんワクチン9価(シルガード9)

子宮頸がんの原因とされるHPVの9種の型(6、11、16、18、31、33、45、52、58型)に対応している「子宮頸がんワクチン9価(シルガード9)」は、海外(特に先進国)で公費接種されているワクチンです。日本国内でも製造販売承認を取得し、2021年2月24日販売が開始されました。

今までのワクチン、サーバリックスとガーダシルでカバーしてきたのは子宮頸がん全体の70%ほどでしたが、シルガード9は31、33、45、52、58型までをカバーしており、子宮頸がんの90%を予防できると考えられています。さらに、外陰がんや肛門がん、咽頭がん、性感染症である尖圭コンジローマなどの予防効果も期待されています。その安全性は世界的に認められており、2020年時点でアメリカ・イタリア・カナダ・ドイツなど80カ国以上で承認を受け、35カ国以上で定期接種として導入されています。

接種スケジュールは、初回接種→2ヵ月後接種→初回から6ヵ月後接種とされており、1年以内に3回摂取するのが望ましいです。このワクチンは、筋肉注射による3回接種で効果を発揮します。天神駅前婦人科クリニックでもシルガード9は接種可能となっていますので、ご希望の方はご相談ください。当クリニックでの接種の対象は推奨年齢にかかわらず、効果が見込める全ての女性となります。

子宮頸がんワクチン9価の費用

シルガード9 30,000円/1回

子宮頸がんワクチン4価
(ガーダシル)

HPVの4つの型である6、11、16、18型に対応する「子宮頸がんワクチン4価(ガーダシル)」は、日本で2番目に発売された子宮頸がんワクチンです。ガーダシルは日本でも無料で実施できる「定期接種」の対象ワクチンであり、小学6年生から高校1年生の女子は公費(無料)で接種が可能です。

接種スケジュールは、初回接種→2ヵ月後接種→初回から6ヵ月後接種とされており、筋肉注射による計3回の接種で効果を発揮します。天神駅前婦人科クリニックではガーダシルも接種可能となっており、3回セットもあります。当クリニックでの接種対象は、定期接種の方だけでなく、効果が見込める全ての女性としておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

子宮頸がんワクチン4価の費用

ガーダシル1回 18,700円
ガーダシル3回 55,000円

子宮頸がんワクチン2価
(サーバリックス)

子宮頸がんワクチン2価(サーバリックス)は、日本で最初に発売された子宮頸がんワクチンで、子宮頸がんの主な原因となるHPV-16型と18型の2つの型に対応しています。サーバリックスもガーダシル同様、定期接種の対象となっており、小学6年生から高校1年生までの女子は公費で接種が可能です。

接種スケジュールは、初回接種→2ヵ月後接種→初回から6ヵ月後接種となっており、筋肉注射による計3回の接種を経て効果が見込まれるのは、他の2種のワクチンと同様です。天神駅前婦人科クリニックでは、サーバリックスの取り扱いがございませんので、あらかじめ、ご了承ください。子宮頸がんワクチンをご希望の患者様には、シルガード9もしくは、ガーダシルをご案内しています。

ワクチン接種後の
子宮頸がん検診は不要?

ワクチン接種後の子宮頸がん検診は不要?

「子宮頸がんワクチンを接種したら子宮頸がん検診をしなくても良いの?」と思われるかもしれませんが、その答えは「いいえ」です。

子宮頸がんワクチン=HPVワクチンは、全ての高リスク型HPV感染は予防できません。そのため、たとえ子宮頸がんワクチンを接種していたとしても、子宮頸がん検診は受けていただくことがとても重要です。

子宮頸がんは、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。そのためにも、HPVワクチンを接種したうえで、定期的に子宮頸がん検診を受診することが大切です。

世界で有効性が認められるHPVワクチン

子宮頸がんワクチンは、世界でその安全性・有効性が認められているワクチンであり、HPVワクチンの接種を推奨する世界保健機関(WHO)も、安全性の問題は見つかっていないと発表しています。子宮頸がんは、最も予防しやすいがんともいわれています。定期接種は対象年齢が限られおり、対象年齢から外れた方は自己負担となってしまいますが、それでもがんになるリスクを少しでも減らせるのであれば、接種を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。子宮頸がんワクチンであるガーダシル、シルガード9は天神駅前婦人科クリニックでも接種可能です。ワクチン接種にご不安・疑問等がございましたら、お気軽にご相談ください。

子宮頸がんワクチンの
よくあるご質問

子宮頸がんワクチン9価とHPVワクチン9価は同じですか?
A.はい。子宮頸がんワクチン9価とHPVワクチン9価は同じもので、「シルガード9」と呼ばれています。
HPVワクチン9価は保険適用ですか?
A.いいえ。HPVワクチン9価(シルガード9)は全額自己負担の自由診療であり、保険は適用されません。しかし、HPVワクチン4価の「ガーダシル」、HPVワクチン2価の「サーバリックス」の接種と同様に、定期接種の対象となる「小学6年生から高校1年生」までの方であれば公費負担で受けることができます。
子宮頸がんワクチンの接種で不妊になることはありますか?
A.いいえ。子宮頸がんワクチンを接種したからといって不妊症になることはありませんので、ご安心ください。子宮頸がんワクチン接種に対する疑問点・ご不安等がありましたら、お気軽に天神駅前婦人科クリニックにご相談ください。
性交渉を経験したあとに子宮頸がんワクチンを接種することはできますか?
A.はい。性交渉後でもワクチン接種は子宮頸がん予防に一定の効果があり、ワクチンの接種が可能です。性交渉後でも、ワクチンが対応するHPV型に感染していなければ予防効果が期待できますし、仮にHPVの一部の型に感染していたとしても、他の型に対しての予防効果が期待できます。子宮頸がんワクチンをご希望の方は、まずは天神駅前婦人科クリニックにご相談ください。

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お知らせ

  • 2023/01/05

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  • 2022/05/09

    HPVワクチン9価(シルガード9)のご予約承ります。