ピルの種類・効果・副作用

Pills

低用量ピル、アフターピルの処方

アフターピルと低用量ピル

「ピルは避妊効果が高いらしいけど、副作用が心配…」
「ピルに興味はあるけど、イマイチよくわからない」こうしたピルに関するお話を聞くことがあります。海外ではポピュラーなお薬として知られるピルも、日本での使用率はあまり高くありません。ピルはきちんと使用することで、さまざまな効用をもたらしてくれるお薬です。

ここでは、ピルとはなにか、その効果から副作用とデメリット、基本的な飲み方と飲み忘れたときの対処法についてご説明します。

※院外処方の場合は、近隣の薬局にてお薬をお受取りいただきます。院外処方の患者様には、受付でお近くの薬局をご案内しておりますので、ご安心ください。

ピルとは?

ピルには、"低用量ピル""アフターピル(緊急避妊薬)"があることをご存じの方が多いでしょう。しかし、それらがどんな役割を持ち、どのような効果を発揮するのか、くわしくはわからないケースが多いのではないでしょうか。この章では、低用量ピルとアフターピル(緊急避妊ピル)という2種類について、それぞれの概要をみていきます。

低用量ピルとは?その種類(マーベロン28)

低用量ピルとは?その種類

ピルとは一般的に低用量ピルである低用量経口避妊薬のことを指し、OC(oral contraceptives)とも呼ばれています。ピルの成分は、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン/Estrogen)と黄体ホルモンであるプロゲステロン類似薬であるプロゲストーゲン(Progestogen)の2種類です。エストロゲンの含有量が50μg未満のものが低用量ピルとされています。その中でも3種類に分類され、それぞれを1相性、2相性、3相性と呼びます。1相性はホルモンの含有量が一定のもので、2相性は生理周期に合わせて2段階にホルモン含有量が変わるもの、3相性は3段階でホルモン含有量が変わります。

天神駅前婦人科クリニックで処方しているマーベロン28ファボワール28は1相性の低用量ピルで、トリキュラ-28ラベルフィーユ28は3相性の低用量ピルです。

アフターピル(緊急避妊薬)とは(レボノルゲストレル)

アフターピル(緊急避妊薬)とは

緊急避妊ピルとして知られるアフターピル(モーニングアフターピル)は、「緊急避妊薬(Emergency Contraceptive Pills:ECP)」とも呼ばれています。このピルは、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を主成分とする薬剤です。このお薬の使用には、下記のような定義がなされています。

「緊急避妊法(Emergency Contraceptive: EC)とは、避妊せずに行なわれた性交または避妊したものの避妊手段が適切かつ十分でなかった性交(Unprotected Sexual Intercourse: UPSI)の後に緊急避難的に用いるものである。」

引用:日本産科婦人科学会:緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)

天神駅前婦人科クリニックで処方しているアフターピルは、レボノルゲストレルと、ウリプリスタールの2種類です。

ピルの効果が知りたい!

ピルの種類がわかったところで、その効果についても気になるのではないでしょうか?なぜ、避妊に効果があるのか、皆さんの疑問にお応えします。ここでは、ピルによる避妊の仕組みと妊娠確率、副効用についてみてきましょう。

ピルによる避妊のメカニズム

低用量ピルは、視床下部から下垂体、卵巣内分泌系に作用し、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌を減少させて、卵胞の発育と排卵を抑制します。こうして、低用量ピルを継続して内服すると卵巣は休止状態に保つことが可能です。

さらにピルは、成分の一つであるエストロゲンによって子宮内膜を増殖させますが、プロゲストーゲンの作用により、その増殖は抑えられ、比較的薄い内膜になります。薄い内膜ではたとえ排卵が起こり、受精しても着床しにくい環境になっているのです。

加えて、子宮の頸管粘液が濃厚粘稠となる効果もあるので、精子が子宮内に入って行けない環境にもなっています。低用量ピルはこれらの作用で、高い避妊効果を発揮しているのです。

気になるピルの妊娠確率と妊娠阻止率

低用量ピルの場合

低用量ピルの妊娠確率は、きちんと飲んだ場合0.3%ととても低い数字になっています。

「OCの有効性は、通常「理想的な使用」と「一般的な使用」に分けて示される。100人の女性がOCの使用を開始してから1年間で「理想的な使用」で失敗する割合は0.3%、「一般的な使用」では8%である。」

引用:日本産科婦人科学会編:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)

学会で示される引用部分の「理想的な使用」とは、飲み忘れることなく毎日きちんと内服している状態を指し、「一般的な使用」は、飲み忘れを含め一般的に使用している場合を指すのだそうです。これを避妊確率に置き換えると、低用量ピルは実に99.7%もの確率で避妊できることになります。しかし、そうなると飲み忘れた場合が気になるのではないでしょうか?92%は低い数字ではありませんが、確実な避妊効果を求めるのであれば、しっかり飲み忘れることなく、「理想的な使用」に則って行動したほうが良さそうです。ピルの飲み方については後述します。

アフターピル(緊急避妊薬)の場合

アフターピル(緊急避妊薬)として日本で承認されている、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)製剤の妊娠阻止率は産科婦人科学会の調べによると、性交渉の24時間以内で95%25~48時間以内で85%49~72時間以内で58%とされています。この数字を見てもわかるように、アフターピルの妊娠阻止率を上げるには、性交渉後いかに早く内服するかにかかっているといえるでしょう。

アフターピルをご希望の患者様は、なるべく早く天神駅前婦人科クリニックにご相談ください。WEB予約の他に、お電話でのご予約も承っております。

ピルがもたらす副効用について

ピルがもたらす副効用について

ピルは、避妊効果を発揮するだけでなく、副効用と呼ばれる、本来の効能以外の好ましい効果がたくさんあります。例えば、生理痛の軽減、月経の経血量の減少、生理不順の改善、PMS(月経前症候群)の緩和など、女性にとって生活の妨げとなるような辛い症状が改善されることが見込まれる、とても便利なお薬の一つといえるでしょう。

必ず飲んだ方がいいということではありませんが、一人一人の症状やライフスタイルに合わせてどう活用できるのかを知ってもらうことが重要です。

ピルの副作用やデメリットは?

ピルを飲むのが不安、ピルは怖そうで飲みたくないという方も多くいらっしゃいます。このように考えられている原因は、恐らく副作用の話が独り歩きしてしまい、誤った情報が本当のように言われているからではないでしょうか。この章を読み終わる頃には、きっとピルが怖くなくなるはずです。では、みていきましょう。

ホントの副作用は?不正出血・吐き気・
ニキビ・眠気・むくみ・肌荒れ・太る

産科婦人科学会では、低用量ピルの副作用について以下のように述べています。

「服用に伴う一般的な副作用として、悪心、嘔吐、頭痛、不正性器出血などが指摘されている。一般的には、OCの安全性は高いと考えられるが、健康な女性が対象となること、長期間服用されることから一層の安全性が求められる。」

引用:日本産科婦人科学会編:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)

つまり、吐き気や嘔吐、不正出血、頭痛は一般的に起こる可能性がある副作用ということです。しかし、これらはホルモンバランスの変化に身体が慣れていないために起こるとされており、ホルモンが安定し、身体も慣れれば徐々に軽減していきます。上記症状以外にも、ホルモンの影響から眠気やむくみも起こりがちな症状です。また、世間的に言われるニキビや肌荒れですが、これは反対に副効用として挙げられ、低用量ピルの内服によってニキビや肌荒れは改善します。

なお、太ると言われるのは、むくみによって太ったように感じたり、ホルモンの影響で食欲が一時的に旺盛になったりすることを指しているものと想定されます。ピルの副作用として、体重増加は認められないと産科婦人科学会でも報告されています。

重大な副作用「血栓症」

重大な副作用として知られるのは静脈血栓症(VTE)です。血栓症が脳で起こると脳梗塞、心臓で起こると心筋梗塞というとわかりやすいのかもしれません。しかし、ピルの副作用で、血栓症を起こすことは極めて稀とされています。

天神駅前婦人科クリニックでは、血栓症を始め、副作用ができるだけ起こらないよう、定期的な診察や検査を行うことで、安心して低用量ピルを服用いただけるよう努めております。低用量ピルの副作用について、ご不明点やご不安な点がある場合は、診察時に医師までお気軽にご相談ください。

ピルを飲み忘れた!?
基本の飲み方と対処法

習慣化されていても、ピルの飲み忘れは起こるもの…。産科婦人科学会によると、低く見積もっても1シート辺り20%近くの方が、飲み忘れを経験するそうです。ここでは正しいピルの飲み方と、飲み忘れたときの対処法についてご説明します。

ピルの飲み方から覚えよう!

ピルの飲み方から覚えよう!

低用量ピルの飲み始めは、生理が始まった第1日目から5日目の間に開始します。(中断を再開するときも同じです)その後は、1日1回28日間連続で1錠ずつ内服していきます。ピルの内服を習慣化するため、なるべく決まった時間に飲むことをおすすめしますが、特に飲む時間の決まりはありません。

この内服の仕方は、天神駅前婦人科クリニックで処方している4種類の低用量ピルの飲み方です。21錠1シートのピルの場合は飲み方が異なりますので、ご注意ください。

飲み忘れたときの対処方法

ピルの飲み忘れに気付いたら、まずは以下のことを行ってください。何回(何日)飲み忘れたのかによって、対応が異なります。

1錠(1日)飲み忘れた場合 1錠飲み忘れたときは、気づいたときすぐに1錠飲みます。そして、その日も通常通りに飲んでください。つまり、その日は1日2錠飲む計算です。
2錠以上飲み忘れた場合 飲み忘れた錠剤のうち直近のものをなるべく早く飲み、残りの錠剤を予定通りに内服します。そして、7錠以上連続して飲むまでの間は、コンドームを使用するか、性交渉を避けるようにしてください。妊娠する可能性があります。

ピル処方の流れについて

ピル処方の流れについて
  • 1.ご予約
  • 2.問診票に記入
  • 3.身長体重測定・血圧測定
  • 4.医師の診察と説明
  • 5.各種ピル処方

低用量ピル・アフターピル(緊急避妊薬)の処方について、ご不安なことや心配なことがある場合には、ご遠慮することなく天神駅前婦人科クリニックにご相談ください。また、お急ぎで処方を希望される方はお電話にてお問い合わせ下さい。

※保険適用のピルは、すべて院外処方になります。
※院外処方の場合は、近隣の薬局にてお薬をお受取りいただきます。院外処方の患者様には、受付でお近くの薬局をご案内しておりますので、ご安心ください。

ピルを安全に使用しよう!

低用量ピルはきちんと内服することで、極めて高い避妊効果を発揮するお薬です。副作用について、いろいろと記載しましたが、医師の診察を定期的に受け、正しく服用することでリスク回避につながります。

最近では、ネットを使い個人輸入や輸入代行によって、ピルを内服する方がいます。こうした行為は、危険を伴うので避けましょう。安心安全にピルを使用するため、ご自身のお身体を守るため、必ず医師の診察を受け、処方薬であるピルを内服するようにしてくださいね。

ピルに関するよくあるご質問

ピル処方は何ヵ月分もらえるのでしょうか?
A.医師の診察・判断によって異なりますので、一概にはいえませんが、天神駅前婦人科クリニックのピル処方は、最大6シート(6ヵ月分)まで処方可能です。お時間の取りにくい方や、お休みが取りにくい方はお気軽に当クリニックにご相談ください。
ピルを飲んでいればコンドームを使用しなくても大丈夫ですか?
A.いいえ。ピルを飲んでいることによって、避妊効果は得られるものの、性感染症を予防することはできません。性感染症予防のためにも、コンドームは使用するようにしてください。
ピルの避妊効果はいつからありますか?
A.低用量ピルは、飲んだらすぐに効果があるわけではありません。生理の1~5日目以内に服用を開始し、毎日ピルを服用した場合、約1週間後からその効果が得られるとされています。効果が得られるまでの期間は、必ず他の避妊法を併用するようにしてください。
ピルを飲めない人はいますか?

A.はい、いらっしゃいます。低用量ピルを内服できない方は下記の通りです。

  • ・原因不明の不正出血がある
  • ・糖尿病
  • ・高血圧
  • ・高度肥満症(BMI30以上)
  • ・静脈血栓症などの既往歴がある
  • ・片頭痛で前兆を伴う、または症状がひどい
  • ・35歳以上で15本/日以上の喫煙習慣がある
  • ・乳がんや子宮体がんの疑いがある、またはかかっている
  • ・妊娠中や出産後6週間以内、または授乳中
  • ・重大な基礎疾患がある
  • ・その他、医師が不可と判断したケース
低用量ピルを飲んでいると、将来妊娠しにくくなりますか?
A.いいえ。ご安心ください。低用量ピルを長期服用することによって、妊娠しにくくなる可能性はほとんどありません。

この記事の監修医師

天神駅前婦人科クリニック院長 橋田修(はしだおさむ)医師

橋田 修(はしだ おさむ)医師

  • 山梨大学医学部 卒業
    (産婦人科専門医・母体保護法指定医)
  • 天神駅前婦人科クリニック 院長

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